「正体を隠匿して欺く、ドイツゲームの集いに参加した~人狼に行けなかったので~」

Blood_Bound

まくら(はじめに)

ぼくは、よく正体を欺く。合コンのときはとくにそうである。たいてい誘ってくれるような友達は、年収が高くさらにイケメンだ。到底、しがない映像屋には勝ち目はない。そんな負け試合のなかで唯一の楽しみといったらいかに自分の正体を隠匿し相手を欺くかである。

合コンに参加した女性がそれぞれ男に聞く。

「職業はなにされてるんですか?」

それぞれの男が、「わぁ、凄い」ともてはやされるような回答をする中で、

「あぁ、ぼくは、金魚すくいの屋台とかやってます」というように欺く。

このまま、話が流される場合もあるが、たいていは、くいついてくる。そうなったら、ゲームの始まりだ。合コンが終わるまで、ばれずに貫き通すのである。この、ありそうもない職業で終われたらその合コンは、ぼくにとって大成功といえる。

ここで、注意しておかなければならないのが、事前に、「オレ、綿菓子機の販売者ってことで行くからな」ということを友達に伝えておかなければならないことだ。空気の読めない友達が、「なに言ってんのお前、嘘ついてるんじゃねーよ」などという可能性がある。そうなったら終わりだ。

また、名前を間違えたれたときも正体を欺く。とくに多いのが、本名が「水島」なので「永島」と間違えられることだ。このときは、いかに永島らしく演じるかが重要である。「永島」と呼ばれたらすかさず反応し、永島っぽい口調で話す。そうすることで、その間違って呼んでいる人が、間違いに気づかない限り、永遠にぼくが永島として認識されることになる。だが、ぼくは「水島」だ。

というのが、ぼくが意識的に正体を欺く遊びだが、多くの人も様々な場面で誰かを欺いているだろう。

 

例えば、上司と話すときと、友達とでは、声のトーンや話す内容が違う。もちろん、どちらも変わらず、ありのままのワタシだと言い張る人もいると思うが、所属しているところでの立場や人間関係の濃密さによって、敬語を使う、使わないなどのようになにかしら、振る舞い方は違うはずだ。それらの態度のほとんどは、自覚せず無意識に行っているだろう。

その他、ネット上でも正体を欺いている人が多い。Twitterを仮名でしている時点ですでにそうだが、現実では言えないような過激なことをつぶやいてみたり、Facebookで“いいね”を押したくないけどしかたなく押して、コメントしてみたり。(ちなみに、これを書いているぼくも、「みずしままさゆき」という偽りの人物を演じているかもしれないので真面目によまないようにと、忠告でもしておこうか)

そうやって、本来のワタシをなにかしら隠匿し欺いて生活している人は多いのがこのご時世。というものの、本来のワタシとはなんだろうと、ふと疑問に思う。

しばらく中断し、タバコを吸いながら考えてみた。ワタシとはなんなのだろう。ワタシ、ワタシ、ワタシ、タワシ・・・・。そうか、文字を入れ換えたらタワシになるのか。タワシといったらかつて東京フレンドパークというテレビがあり、最後に商品獲得する際のダーツコーナーで的を外したらタワシを貰うことになっていた。その番組の司会者は関口宏だった。いまだと、サンデーモーニングに出ているのでご存じだろう。

と、話がそれすぎたので「喝!!」を入れて、そろそろ本題に入りたい。

今回は、正体隠匿ゲームの集いに参加してきた話を書きたいと思う。

 

 正体隠匿ゲーム

そもそもなぜ、この集いに参加したのかというと、いま、はやりの人狼というものをご存じだろうか。恐らく、これを読んでいる数少ない人たちならば知っているだろう。

このゲームをやりたいと思い立ち、ネットでそのような集いを探していた。怪しそうな雰囲気で募集をかけているようなところもあり、人狼をやっているうちに変な宗教の勧誘をうけ、主催者がある意味、本当の人狼だったなんてなりかねないなどと思いを張り巡らせながら調べていた。

そうしたなか、人狼を主体とし、運営している会社を発見(ドイツゲームスペース@Shibuyaというところ)。サイトをじっくりとみて、「ここならば安心だろう」と、参加してみることにした。しかしながら、人狼の集いは人気のようで、1ヵ月以上先まで、満席となり参加することが出来なかった。だが、別のドイツゲームの集いというものがあり、そこは大丈夫なようなので、「よし、ここだ。いや、むしろ人狼はもう流行っているから、新たなドイツゲームを学びおれが流行らしてやる」というような気合のもと、自らに「喝!!」を入れこちらに参加の申し込みをした。

いうまでもなく、今回も参加するときは鬼殺しを飲んでいて酩酊していたため、翌日届いたメールをみて、いつのまにこんなものにと思った次第である。

酔っぱらっていると、一人で参加するという優鬱さを忘れているので、イベント当日になるといつも行きたくないと思ってしまう。だから、今後は酔っ払いながらネットを閲覧することはやめようと思うのだが、気づくと忘れてしまっている。こんなどうでも、いい反省をしながら、会場である渋谷のとある場所へと向かった。

地図を頼りに迷いながらも会場らしきビルにつく。一見すると普通の住宅マンション。中に入り、会場のあるところへエレベータで向かう。なにかしら看板が出ているだろうと思っていたが何も出ておらず無機質な扉が待ち受ける。案内で届いたメールに書いてあった部屋番号の扉を恐る恐る開けると、中にはそれらしき人たちが待っていた。

運営者のような人がいたので、ここで大丈夫かということを確認し、適当に席に座る。すでにいる人たちが、どうやら今回の参加者らしい。しばらく、集合時間まで、警戒しつつ、適当にスマホをいじくりながら待っていた。

開始時刻には、しっかりと参加者10名すべてが集まる。ゲームマスターと呼ばれる運営者の進行のもと、まずは軽く自己紹介。男女比は、男性が9人、女性1人といういびつな構成。友達と参加している人や、常連で顔なじみの人などが多くを占め、ぼくのように一人で初参加はいなかったような気がする。だが、このようなインドアな集まりなので、体育会系的な雰囲気の人はおらず、文化系的な匂いがした。

 

今回、主に行ったゲームは「ブラッドバウンド」というゲーム。とりあえず、AMAZONでもこの商品が発売されているようなので、解説とともに引用しておこう。

このゲームは、徐々に明らかになる情報をもとに相手の正体を論理的に推理するゲームだ。プレイヤーは敵対する2つのヴァンパイアチームのどちらかに属しており、敵対チームのボスを倒すことがゲームの目的である。ゲームの最初にランダムで配られるキャラクターカードには、自分の地位を示す数字と、自分の地位についての手がかりのマークが記されている。それぞれのチームごとに地位の数字がもっとも小さいプレイヤーがボスとなるため、誰がボスなのかわからない状態でゲームは開始される。また、他のプレイヤーの誰が味方チームで誰が敵チームかもほとんどわからないため、ゲームを進めながら正体を推理する必要がある。プレイ自体はシンプルで、他のプレイヤーを刺すか、他のプレイヤーにナイフを渡すだけ。刺されたプレイヤーは、傷を負い自分の正体を明かす手がかりを1つ公開しなければならない。また、本来刺されるはずのプレイヤーをかばい代わりに傷を負うことも可能となっている。公開される情報をもとに、誰が敵で誰が味方なのか、そしてボスが誰なのか本格的な推理を楽しめるのがこのゲームの面白い点である。正体を推理しながら誰を刺し、誰をかばっていくのか。プレイヤー同士の濃厚な推理と駆け引きが楽しめる「人狼」系ゲームとなっている。

プレイ人数:6~12人 プレイ時間:30分 対象年齢:14歳以上

(Amazon.co.jpより)

 

 

ゲームの進行方法など

まずは、ゲームマスターからの大まかな説明を受ける。さすが手慣れたもので、分かりやすく教えてくれる。

次にデモンストレーションで実際にゲームをはじめながら、通常よりは遅いペースで進めていく。今回、参加者のほぼ全員が初めてやるようなので、みな一様に戸惑いつつも、ゲームマスターが手助けしてくれるところもあり無事終了。

「ドイツゲームは2回目からが本番」というゲームマスターからの言葉とともに2回目がスタートする。ある程度ルールを把握してきたので、スムーズにゲームを終えることが出来た。

このゲームは、チーム戦だが、最初はだれが仲間かという情報すら与えられていないため、必然的にコミュニケーションをとらなければならない。誰に攻撃すればいいのか、誰が仲間なのかということをみんなで話し合いときに騙しあい、進んでいく。

ゲーム終盤になれば、ある程度情報は露見されるようになるが、どのようにして勝利を得るか仲間と協力しなくてはいけないため、コミュニケーションを絶えずとならなければならない。

 

 コミュニケーションの重要性

このように終始言葉が飛び交っている。それぞれの言動を観察すると面白い。論理的に分析する人、革新的なことをボソッと言う人、ニコニコしている人、カッコいいことを言おうとして墓穴を掘る人というように。

観察していて、「自分の周りにいるあの人と性格が似ているかも、だとしたら性格が悪いな」などと頭の中の残像と照らし合わせ、思わず笑いそうになってしまうこともあった。

こういったみんなで集まって行うTVゲーム以外のリアルなゲームは昔からあったと思うが、子どもの頃にわずかにやった程度で、大人になってからは、麻雀ぐらいのものだ。

だが、麻雀はあくまで個人での勝負なので、みんなで一緒に盛り上がるという要素とは少し外れるし素人に優しくない。そう考えると、大人になってから、みんなと一緒になにかをして盛り上がるゲームというのは、スポーツぐらいしか思いつかない。

そのスポーツは、ジャンルによって得意不得意、そもそも運動が苦手な人は遠慮する。だから、限られた人しか楽しめることが出来ないので、「ドイツゲーム」のように誰でも参加できる“人狼”などが盛り上がっているのだろう。

それならば、昔ながらのトランプや人生ゲームが隆盛していてもいいと思うが、人狼のような「ドイツゲーム」は内容が違う。それは、みんなで話し合わないとゲームにならないということだ。先ほどあげたトランプで定番のポーカー、ババ抜き、大富豪、神経衰弱などは、黙っていてもゲームを進められる。なので、ここに金銭的な何かがあれば勝利の喜びは、あるのかもしれないが、なにもなければ一人で勝利の優越感に浸るだけで、それは長続きしない。一方、人狼のような「ドイツゲーム」だと、黙っていては成立せず、みんなで話し共通意識を持たなければならない。だから、勝利した時はみんなで喜びを分かち合うことが出来る。その「みんなで話さなければ行けない」ということが、現在盛り上がっている要因なのではないだろうか。

今回行った場所でも飲食自由という環境だったが、あくまでもそれは持ち込みでということで、今後は、「人狼居酒屋」というように飲食店と「ドイツゲーム」が融合したお店が出来るのではないだろうか。いや、すでにあるのかもしれない。

 

今回は、ちょっとオーバーめに嘘をついてみました。

 

おわり

 


クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
みずしままさゆき を著作者とするこの 作品 は クリエイティブ・コモンズの 表示 4.0 国際 ライセンスで提供されています。

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